Arikaina 2025/11 白馬山脈の風力発電で県に要望書[2]
業者の調査に批判が集中

「山の上は切ったらあかん」白馬山脈の風力発電計画、地元有志が県に要望書[2]


尾根の細長い「安定した地盤」
「大規模崩壊の繰り返しでできたもの」

 野鳥の会に続いて、紀美野町在住の元高校教諭で、長年紀伊半島の地質を研究している中屋志津男さんが発言。風車を山稜部に建てることについて、業者の地形図では「山稜部に細長い安定した地盤があることになっている」と指摘。中屋さんは、この地盤が細長くなっているのは「過去に大規模な崩壊を繰り返してきたため」と説明しました。

 「この山稜の北側、南側とも(中略)繰り返し大規模崩壊している。例えば昭和28年の7・28水害、伊勢湾台風、室戸台風、そういった時にですね」

「(北側・南側とも)崩壊したためにですね、非常に狭い、強壮な東西に伸びる(地盤ができる)。これを事業者が安定した地盤だと解析結果として述べているんです。大変誤った解析です(カッコ内本紙)」

 中屋さんはほかにもいくつか例をあげ、「誠実に、正確に地形解析を行っていない」「技術者・研究者の倫理に反している」などと、厳しい批判を続けました。

「保安林を解除しないでほしい」

 中屋さんの説明のあと、「白馬山脈の風力発電を考える会」の方が発言。県に対して「とにかくあの危険なところに林地開発許可(保安林の解除)せんといて下さい」と要望しました。「もう第1級保安林間違いなしやと思うとこいっぱいあります。それの解除ですね、ぜひともせんようにと」

 これに対し県も「急峻な地形であれば保安林解除は実際できません」と返答。「解除の規程にあわないところ、それはもう当然解除しないということで、我々はやっていきます」などと答えていました。

山稜部はさわらない、木を切らない、道路は付けない

 これに続いて、中屋さんがふたたび発言。過去に大規模な崩壊が何度も発生したとし、「だから昔から、山稜部はさわらない、木を切らない、道路は付けない。こういうものを、ある意味では暗黙の了解でみなさんやってきた」と指摘。しかし風力発電の事業者は、そういう認識を無視して「安全である」としているとして「ぜひこれは止めていただきたい」と要望しました。

 当日出席した日高川町議会議員の原孝文さんも、中屋さんと同様のことを発言しました。「私の親父は木こり。親父から言い伝えでずっと聞いてたことは、山の上は切んな、切ったらあかん(中略)。ここを切ってしもたらえらいことになる」「中屋先生言うたように、地形も地質も、見たらとても切れるような状態ではありません。ほんとに傾斜きついし、破砕帯もあちこちあります。そういった中であそこ切ったらどういうことになるか、こらもう目に見えてるんです」と発言していました。

 意見交換の終了後、中屋さんは本紙の取材に答え、「(山の尾根をさわったらあかんというのは)もう鉄則です」として、白馬山脈で尾根伝いにスーパー林道がつくられていることについても「望ましいことではない。つくるんだったら、それぞれの元から谷沿いにつくるべき」と話していました。

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